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他力本願の巫女


 知り合いの不良天人が「要石を調節する」と言った次の瞬間、博麗神社はおもちゃのようにバラバラと崩れ去った。
 木くずと埃の匂いが立ち込める横でそいつは「私じゃないから」と言い残し、足早に去っていった。

 残された霊夢は唖然と瓦礫の山を眺めるばかりだったが、頭の中で何かが繋がったのか、唐突に「萃香」を連呼し始めた。
 するとどこからともなく薄い霧がかかり、それがだんだんと濃くなったかと思うと人の形にあつまって、萃香と呼ばれた少女が現れた。
 霊夢はその姿を捉えるともう1度「萃香」と呼び、自分の右横にあるゴミの山を指差して叫んだ。
「大変よ! 神社が壊れたわ! 直してくれないかしら!」
 萃香はゆらりと左方を一瞥してから、霊夢の顔をぼんやりと見て、歌うように言葉を発した。
「瓦礫をどけてー、新しい木材を用意してー、んで組み立てればいいんじゃない?」
 霊夢は、夢想だにしなかった萃香の言葉に目を丸くして、首を傾げた。
 萃香は両肩を軽く上下させた。左右の手首に付けられた錘(おもり)がぶらりと揺れる。かと思うと霊夢の目を射るように見つめて、言葉を突き刺した。
「あんたは私に頼ってばかり、だからたまには自分でやれ。それが一番でしょう?」
 ずっしりとした声が辺りに響いたと思うと、萃香の姿は跡形も無くなっていた。

  おわり


『ヘラクレスとウシ追い』より