アンコーハウス - 東方伊曽保物語まとめサイト -

見えない足元


 紅魔館の応接間で紅いソファに深々と腰かけた魔理沙は、その脇で壁に向かってはたきを振り回す咲夜に問いかけた。
「どうしてそんなにあくせくと働くんだ」
 咲夜は壁に目を向けたまま答えた。
「居場所だからよ」
「居場所ねえ」
 魔理沙は両手を頭に組んで天井のシャンデリアを眺めた。
「貴方がその気になったら、調理場で一度きりのお勤めを斡旋してあげるわ」
「遠慮するぜ」
「なら自分を食い潰さないことね」
 鋭い口調に魔理沙が振り返ると、既に咲夜の姿は無かった。

  おわり


『牝の仔ウシと牡ウシ』より