言霊の出所
「この大量発生に貴方はどうお考えですか?」 空中に浮かぶ射命丸は日傘の女性を前にして、向日葵畑に屯(たむろ)する妖精の群れを指差した。 「有力な妖怪である貴方が何の対処も下さないのですか?」 「あれ、ここって妖精の集落でしたっけ?」 「たかが妖精に手を拱(こまね)いているのですか?」 矢継ぎ早に疑問を投げる射命丸に、日傘の女性は一歩踏み込んで手を前方に翳した。だがその度に、射命丸は掴みどころのない動きでその射線を交わした。日傘の女性は口元を苦くさせて地面を蹴った。 「愚かな天狗。貴方の言葉は己の意思から来るものじゃないわ。その機敏さが言わせているのよ」 おわり 『仔ヤギとオオカミ』より