リーダーは誰
湖は陽の光をきらきらと反射させる。その付近では、チルノ、ルーミア、ミスティア、リグルの四人が集まっていた。 誰かが言い出した。「私たちのリーダーは誰?」 四人は顔を見合わせた。 話し合いの結果、「闇の力を持っていて凄そう」という理由でルーミアがリーダーに選ばれた。 ルーミアが寝そべる。みんなも横に並んで寝転がる。ルーミアがふよふよと飛ぶ。みんなもふよふよとついていく。 チルノが言った。「こんなのおもしろくないよ!」 ルーミアはあえなく罷免されてしまった。続いて、四人の中では落ち着きのあるリグルを指導者に据えた。 チルノが言った。「遠くへ冒険に行こう」 リグルはうんうんと頷いた。 ミスティアが言った。「人里へいたずらしに行こう」 リグルはそれもありだなと賛同した。 ルーミアが言った。「お昼寝しよう」 リグルはいい天気だもんねと返事した。 リグルは腕を組み、難しそうに瞼を閉じて考え始めた。少しの間の後、リグルはそろりと目を開けて三人の顔を見た。三人は期待を顔いっぱいに浮かべていた。 リグルが言った。「ごめん。無理」 「やっぱりあたいが一番リーダーに相応しいのね!」 意気消沈するリグルをよそにチルノが名乗りを上げた。 チルノは三人に尋ねた。「リーダーって偉い?」 三人が頷いた。チルノは不敵な笑みを浮かべた。 チルノは風のように空へ舞い上がった。そして右手を大きく掲げた。その手にはシワシワのスペルカードが握られていた。 「皆の衆、パーフェクトフリーズ!」 湖に七色の冬が訪れた。 「はぁーあー。私たちにリーダーなんていらなかったんだ」 リグルはそう呟くと机に突っ伏した。周辺では秋の虫たちが合唱を始めていた。 チルノはその隣に座り、しきりにご飯を頬張っていた。ルーミアは傍で闇の眷属と触れ合っていた。 「ま、今のままがいいんじゃない?」 網の上で焼かれるウナギたちを扇ぎながら、ミスティアがにっこりと微笑んだ。 おわり 『王様を求めるカエルたち』より