寅丸と彼女の監視者
説法を終えた夕下がり、命蓮寺の縁側で風に当たっている星にナズーリンが寄ってきて、声をかけた。 「なあご主人。 民衆の信仰を浴びているのは他でもないご主人だよ。だったら、師弟とはいえあの僧侶に特別遠慮をする必要はないんじゃない?」 星はそれを聞くとふっと息を漏らして笑い、西の空を眺めながら言葉を返した。 「ナズーリン、あなたの言い分も尤もです。 けれども、私は、天に祈るあの御姿を拝見するだけで、身の震えが止まらなくなってしまうのです」 おわり 『仔ジカと彼の母親』より
説法を終えた夕下がり、命蓮寺の縁側で風に当たっている星にナズーリンが寄ってきて、声をかけた。 「なあご主人。 民衆の信仰を浴びているのは他でもないご主人だよ。だったら、師弟とはいえあの僧侶に特別遠慮をする必要はないんじゃない?」 星はそれを聞くとふっと息を漏らして笑い、西の空を眺めながら言葉を返した。 「ナズーリン、あなたの言い分も尤もです。 けれども、私は、天に祈るあの御姿を拝見するだけで、身の震えが止まらなくなってしまうのです」 おわり 『仔ジカと彼の母親』より