鬼を呼ぶ神社
霊夢は裏庭から縁側の奥を見た。ちゃぶ台の裏で、分銅をジャラリと垂らした鬼が気持ちよさそうに寝そべっている。 「あーあ。どうしてあんたに棲みつかれなくちゃいけないのかしら」 鬼は徐(おもむろ)に起き上がり、ちゃぶ台に肘をついて霊夢を覗いた。 「そりゃあ、おいしいお酒と丁度いい寝床を持っているなんて、鬼を呼んでいるようなもの。おつまみまだー?」 そう言って空のお皿を見せびらかす。霊夢は持っていたお祓い棒を握りしめ、部屋に上がってひたひたと鬼に歩み寄った。 「いいえ。あんたには酒の肴になってもらうわ」 おわり 『カシの木とジュピター神』