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ごはん、牛乳、わかさぎのからあげ、とり肉のレモンに


 互いに何の繋がりも無い四人は、捕えられ、縄で縛られたまま白玉楼の厨房に並べられた。
「さあ、食材を出せ」
 銀髪の少女がやたらと長い日本刀を片手に、四人の下へと迫る。捕縛されたもののうち、赤い帽子に葡萄を付けた少女が体をくねらせた。
「この稲はまだ育ちの途中で、ほら見てください、なんと弱々しい穂先でしょう。立派に実がなりましたら必ず差し上げます。この通り」
 それを見た青髪の人魚も、刀の少女に向かって目を見開いた。
「私だって、まだ粗末な小魚です。成長した暁には必ず恩赦に報います」
 悲愴に騒がしくなった台所に、夜雀が低音を添える。
「ドナ・ドナ・ドーナ・ドーナー、心がゆーれーるー」
 端にいた長髪の女性も、頭に被る弁当箱をずり下げる勢いで訴える。
「そもそも私は牛ではない」
 四人がひっきりなしに捲し立てるので刀の少女はそれ以上踏み込めず、ただただ頭を掻くばかりだった。
 そこへ、勝手口の裏から桃色髪の女性がやって来た。青空に醤油をわずかに混ぜたような色合いを纏うその女性は、澄んだ瞳でお縄の四人を順々に見つめた。
「あのね。食欲は次回に持ち越せないのよ」

  おわり


『漁師と小魚』より