盛者必衰の理をあらわしたい幽々子
乱れ落ちる桜吹雪をすり抜け、妖夢は自らの主に最後の一撃を加える。と同時に、神霊の煙が爆ぜ上がる。 妖夢は長々とそそり立つ楼観剣を静かに収め、手で煙を払い、口の端に笑みを浮かべた。 「衰えましたね、幽々子様」 幽々子は乱れた裾や髪を手で整えつつ、妖夢に流し目を送った。 「あら。今の私を貶すのではなくて、死に際の私を褒めてほしいものだわ」 「それはどういう意味ですか」 「あぁーあ。私も随分と長く死に過ぎたものね」 幽々子は扇子を口元に当て、上品に笑みを零すばかりであった。 おわり 『年老いた猟犬』より