計画と実行
河童たちが内々に集まって、河川の水質維持に関する相談を始めた。懸案は、川を汚す土蜘蛛への対抗策であった。幾許か議論が積み重なった頃、緑色の帽子を被った青髪双尾(そうび)の河童が提案した。 「相手の体に発信機を取り付けるのはどう? そうすれば早期に対応できるから」 その瞬間、全ての河童の目線がその一人に注がれた。 先ほどの意見で話が纏まり、河童たちは各々、機械開発の計画に頭を悩ませ始めた。一層騒がしくなったその傍ら、先の河童が控えめに問いかけた。 「で、誰が発信機を彼奴の背中に付ける?」 すると、上気していた場の空気が瞬時に冷え切った。それから、発信機の話をする者は誰もいなくなった。 おわり 『ネズミの会議』より